· 

文学は面白いのです『街灯と青空』

文学が好きなんです。文学が好きなのですが好みの偏りが激しく、主に古書を読んでいます。大正から昭和の戦前戦後あたりの文学がたまらないのです。不思議なもので日本に限らず、海外の文学でも同じようです。

社会は未成熟で、多くの偏見や差別、身分制度の問題があったり制度的な問題も多く、そこに暮らす人々にとって良い社会であったかと言えば疑問です。(現在が成熟して良い社会であるとも言えませんが)現代と比べても貧しく不自由な社会の中で、人間は人間らしく生きようとしていたように感じられます。(この言い方が適切であるか微妙ですが)社会が未成熟である為に、未来を自分たちの手で作るという理想を持っていたように本を通して私は感じています。文士を含む教育を受けた一部の人間だけかもしれませんが、市井の人々は、市井の人々で、人生に、生きることに、真剣に向き合っていた事も、文士の筆を通して私は感じています。

 

新しいブンガク誌「街灯と青空」は、そんな時代を眼前に浮かび上がらせるホログラフィーのような文芸誌です。過去を今のことのように感じてもらいたいと考えています。過去は現在のなかに生きています。今回のテーマはちょっと硬いもので、説教臭いものと思われてしまったかもしれません。ただ今に通じるテーマを選んだもので、本来の趣旨は、今読んでも面白い文学、現代の文学の多くからは失われてしまった美しい文体を愉しんでもらいたいということです。

僅かでも、これを入り口に文学が面白いと感じてくれたら嬉しいです。

 

ブンガク誌 街灯と青空 BCCKS

 

* 画像は、一号の表紙に使用した自作のアクリル画です。